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Sustainable AI Notes

村田製作所とアクセンチュアの3年提携、現場データが生む競争力

村田製作所とアクセンチュアの3年提携、現場データが生む競争力

ニュースの概要

村田製作所とアクセンチュアが、AIとデータを軸にしたモノづくり変革に向けて3年間の戦略的パートナーシップを結んだ。村田製作所が長年蓄積してきた製造技術や工場の現場データに、アクセンチュアのAI活用と業務変革の知見を掛け合わせる。狙いは、品質管理と生産性の向上、そして需要の増減に素早く対応できる体制づくりである。あわせて、デジタル空間で工程を試す取り組みも進め、熟練者の技能を次の世代へ引き継ぐことを目指す。さらに、提携の前提として、データや知的財産を守るための管理の仕組みも整える方針が示されている。単なるシステム導入ではなく、会社の強みそのものを再設計する動きといえる。

引用元: 村田製作所とアクセンチュア、AI・データ活用による製造業変革で戦略的提携(Accenture / Murata Manufacturing)

分析・見解

強みの源泉は部品ではなく現場に積もったデータ

村田製作所は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)をはじめとする電子部品で世界有数の存在である。スマートフォンや自動車に使われる部品は、数ミクロンの層を数百枚も重ねて焼き固める。この工程では、粉の粒の揃い方、温度の上がり方、焼く時間のわずかな違いが歩留まり(=良品の割合)を左右する。

今回の提携で価値が高いのは、AIの新しさではない。何十年分もの条件と結果の記録という、他社が簡単にまねできない資産である。AIは学習する材料の質で性能が決まる。つまり材料を持つ側が、本来は有利である。

品質管理の発想が検査から予測へ変わる

従来の品質管理は、作ったあとに測って不良を弾く考え方が中心だった。AIを使えば、工程の途中の数値から不良の兆しを先に見つけ、条件を調整できる。検査は、見つける仕事から、起こさせない仕事に変わる。

電子部品は需要が急に動く。スマホの新機種や電気自動車の増産で、数か月のうちに必要量が数割変わることもある。生産計画と設備の割り当てを素早く組み替えられるかが、利益を左右する。AIによる需要予測と工程の最適化は、この点で効果が出やすい分野である。

デジタル空間での検証が技能継承の鍵になる

熟練者の技能は、言葉にしにくい。音、においの感覚や微妙な手加減は、マニュアルにしづらい。そこで、工程をコンピュータ上に再現し(デジタルツイン)、条件を変えた結果を何度も試す方法が有効になる。新人が失敗を安く繰り返せる点も大きい。

熟練者の判断を数値と結びつけて記録すれば、引退とともに知恵が消える事態を減らせる。人手不足が進む日本の製造業にとって、これは省人化よりも切実な課題である。

3年という期間と、データ保護の枠組みが示すもの

提携期間を3年と区切った点も見逃せない。システムを入れて終わりではなく、現場に根づくまで伴走する前提である。一方で、外部の企業に工程データを預けることは、競争力の核心を開くことでもある。そこで、データと知的財産を守る管理の仕組みを最初から組み込む方針が重要になる。

他の大手でも、トヨタ自動車が現場データの活用を進め、ドイツのシーメンスも工場のデジタル化を事業の柱にしている。ただ、外部の専門企業と長期で組み、守りの規則まで一体で設計する形は、まだ多くない。今回の提携は、その先行例として参考になる。

ビジネスへの影響

自社データの棚卸しが最初の一手になる

大企業のニュースに見えても、中堅・中小の製造業に使える示唆はある。まず、自社にどんな記録が、どの形式で残っているかを確認することだ。紙の日報、担当者の表計算ファイル、設備ごとに形式が違うログなど、散らばったままではAIは使えない。

最初から大きな投資をする必要はない。不良が多い工程を1つ選び、その前後の条件を同じ表にまとめるだけでも、原因の見当がつく。小さく試して効果を数字で示せば、社内の合意も取りやすい。

外部との協業は守りの約束から決める

外部の力を借りるときは、機能や価格より先に、データの扱いを決めておきたい。誰が見られるのか、どこに保管するのか、学習に使った結果は誰のものか、契約終了後にどうするか。この4点を文書にしておくだけで、後の揉め事は大きく減る。

人材面では、現場を知る人とデータを扱う人の組み合わせが欠かせない。熟練者に聞き取りをして、判断の理由を記録する作業を早めに始めれば、数年後の技能継承の負担を軽くできる。成果が出るまでには時間がかかるので、経営層は3年程度の期間で見る覚悟を持ちたい。

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